革新的プロダクトを伝える、キャッチコピーのつくりかた(抜粋版)
MAGAZINE
Sep 18, 2023
革新的プロダクトを伝える、キャッチコピーのつくりかた(抜粋版)

目次

1. キャッチコピーの必要性
2. 革新的プロダクトに必要なキャッチコピー
3. 革新的プロダクトを伝えるポイント
4. 参考にしたいタグライン事例
5. まとめ

1. キャッチコピーの必要性

「すごくいいプロダクトのはずなのに…」
「うまく伝わっていないのかな…」
そんなふうに思った経験はないでしょうか?
そこには、革新的プロダクトならではの課題があります。

スタートアップのプロダクトは、革新的なものばかり
そんなプロダクトの革新性が競争力の源泉になっているわけですが、その革新性は、
相手に伝えることにおいてはハードルになってしまう表裏一体の関係です。

そして、がんばってプロダクトのことを伝えようとするあまり、
説明的になったり、曖昧になったり、想いが先走ったり、と伝わりづらくなってしまう。
そんな課題を解決するために、プロダクトの本質的価値を伝えるキャッチコピーが活躍します。
お伝えするメソッドをもとに考えれば、ある程度まで精度を高められるはずです。

2. 革新的プロダクトに必要なキャッチコピー

そもそもキャッチコピーとはどんなものでしょうか。

キャッチコピーの作り方を検索すると、
・メリットではなくベネフィットを示す
・好奇心をあおる
・数字がもつ具体性を活用する
・恐怖や不安をあおる
・ノウハウを伝える
・「話題の~」「~限定」など心理学のテクニックを取り入れる
など、さまざまなものが表示されますが、
これらは正解でもあり不正解でもあります。

人によっては、商品の魅力をうまく表現する創作活動のように
思われている方もいるかもしれませんが、本質は課題解決の手段となる言葉です。

シンプルに要素分解すると、
「What to say」と「How to say」のふたつで成り立っていると言われています。
つまり、戦略と表現のどちらも重要であるということです。

そもそもキャッチコピーとはコピーの一種で、
キャッチする(人の興味を喚起する)ことに主眼をおいたものです。
そして、革新的プロダクトを伝えるためにはキャッチコピーではなく、
別のカタチのコピーが必要になります。
つまり、ここでお伝えするのは、正確にはキャッチコピーではありません。
(誤解を与えるタイトルですみません)

「キャッチコピーじゃないなら、いったい何なんだ」という声が聞こえてきそうですが、
商品や企業の近くにあるコピーである、タグラインと呼ばれているものです。

有名な事例をもとに紹介してみましょう。

(例1)
サントリー「水と生きる
意図|水の恵みを届ける企業として、環境と共生すること。

(例2)
ロッテ「お口の恋人
意図|食品の提供を通じて、いつまでも皆様から愛される存在に。

どういったものなのか、なんとなく伝わったでしょうか。

タグラインとは、社会との約束です。
今回は企業ではなく、プロダクトを伝えるものが必要です。
つまり、プロダクトが社会に約束できることを伝える必要があります。

3. 革新的プロダクトを伝えるポイント

スタートアップのプロダクトは、それ自体がクリエイティブなものだと考えています。
そうすると、どれだけうまく表現できるか、ではなく、
どれだけ的確に表現できるか、が大切になります。
そこで、とてもシンプルなメソッドを考案しました。

メソッド1
[革新性]+[カテゴリー]の組み合わせを、ワンセンテンスに圧縮する。

メソッド2
革新性には、オリジナリティのある言葉を。
カテゴリーには、オリジナリティのない言葉を。

前半の「革新性」部分でオリジナリティをつくるための、
3つのポイントをまとめました。

ブランドコンセプトをもとにする
ブランドコンセプトは、戦略構築によって導きだすものです。
ダブルアックスでは、キーパーソンとのディスカッションやワークショップで、
リサーチ・分析・設計を進めます。

競合ができない(or していない)ことを訴求する
競合ができない(or していない)ことは、そのままの意味です。
ニーズだったり、インサイトだったり、ペインポイントだったり、ということから発想します。

独自のワードでベネフィットを表現する
独自のワードは、ありきたりな、きれいな、ポジティブなところには、なかなかありません。
これまでの2 つのポイントを踏まえながら、本質的価値を的確に表現できるワード選びをします。

後半の「カテゴリー」部分でオリジナリティをつくらないための、
3つのポイントをまとめました。

既存の単語 or 既存の単語の組み合わせ にする
(中学生レベルの)一般的なワードにする
業界の独自ワードがないかチェックする

こちらは特に解説の必要はないと思いますが、
とにかくわかりやすくすることに気をつけてください。

4. 参考にしたいタグライン事例

セミナーでは16の具体例を紹介しましたが、ここでは5つにしぼって紹介します。

注意事項
※ 説明しやすい& 理解しやすい事例をピックアップしています
※ プロダクト以外もあります
※ タグライン以外もあります
※ 公開情報をもとに手を加えているものが多いです


事例1

COGY(cogycogy.com

プロダクトの特徴
・どちらかの足が少しでも動かせれば自分の足でペダルをこげる
・脊髄の「原始的歩行中枢」を刺激する
・もう一度自分で動くことをあきらめない人のためにつくった
・車いす

メソッド
あきらめない人の(革新性)

車いす(カテゴリー)

タグライン
あきらめない人の車いす

事例2

トーキョーバイク(tokyobike.com

プロダクトの特徴
・信号や坂道の多い東京を気持ちよく走るために
・踏み込んだ瞬間の軽さや、上り坂をすいすいと上れる気持ちよさ
・自転車を意識せず、風景や空気の匂いを感じるためのデザイン
・自転車

メソッド
東京を楽しむ(革新性)

自転車(カテゴリー)

タグライン
東京を楽しむ自転車

事例3

Airbnb(news.airbnb.com/ja

プロダクトの特徴
・街や人とのつながりを肌で感じながら世界を旅できる
・ユニークな宿泊先やほかではできない体験を提供するホスト
・誰もが、どこでも「ビロンギング(居場所)」がある世界をつくる
・宿泊予約サイト

メソッド
暮らすような旅(革新性)

宿泊予約サイト(カテゴリー)

タグライン
暮らすような旅をつくる宿泊予約サイト

事例4

WOTA BOX(wota.co.jp/wota-box

プロダクトの特徴
・一度使った水の98% 以上をその場で再生して循環利用
・水道のない場所での水利用を実現する
・いつでもどこでも、水を自由に使える暮らしをもたらす
・ポータブル水再生システム

メソッド
いつでもどこでも使える(革新性)

水インフラ(カテゴリー)

タグライン
いつでもどこでも使える水インフラ

事例5

freee(www.freee.co.jp

プロダクトの特徴
・今までにない多様な価値観や生き方、新しいイノベーションを生み出す
 起爆剤となるスモールビジネスをサポート
・起業やビジネスを育てていくことを、もっと魅力的で気軽な行為にする
・統合型経営プラットフォーム

メソッド
スモールビジネスを世界の主役に(革新性)

経営ソフト(カテゴリー)

タグライン
スモールビジネスを世界の主役にする経営ソフト

5. まとめ

■ 革新性を伝えるには、コピーが有効
■ 必要なのは、タグライン
■ タグラインは、革新性+カテゴリーでつくる
■ 革新性は、ブランドコンセプトなどをもとにオリジナリティのある言葉で
■ カテゴリーは、オリジナリティのない言葉で